使わないモバイルバッテリー&ハンディファンの保管と処分ガイド ― 発火リスクを防ぐために知っておきたいこと

暑い季節に大活躍だったハンディファンや、予備として保管しているモバイルバッテリー。便利なアイテムですが、実はそのまましまい込んでおくと、リチウムイオン電池の発火・発煙リスクが存在します。この記事では、「使わない時こそ意識したい保管」と「安心して処分するための手順」を、どなたにも分かりやすく整理しました。

なぜ使っていないバッテリーやファンでもリスクがあるのか?

ハンディファンやモバイルバッテリーには、ほとんどの場合リチウムイオン電池が使われています。例えば、自治体の報告でも「リチウムイオン電池が原因と思われるごみ収集車両等での火災事故」の注意喚起がされています。東芝公式解説はこちら

使い終わったファンを車内に放置したり、満充電のままクローゼットにしまったりすると、「高温」「過充電」「ショート」「衝撃」といった発火条件が揃いやすくなり、思わぬ事故につながることがあります。

① 保管時のポイント:安全に“しまっておく”ための3つのチェック

  • 温度管理を徹底する:直射日光が当たる場所、車内、暖房器具の近くなどは絶対に避けましょう。理想は15〜25℃くらいで、風通しの良い場所が望ましいです。EcoFlow公式ブログはこちら
  • 残量を40〜70%程度に保つ:満充電(100%)のまま長期間放置するのも、0%付近まで使い切って放置するのも、電池にはストレスになります。
  • 端子やプラグを絶縁する:モバイルバッテリーやファンの充電端子がむき出しだと、金属と接触したり、衝撃でショートする恐れがあります。テープで覆うなど端子処理をしておくと安心です。

② 保管で“やってはいけない”NG行動3選

  • 高温多湿な場所での保管:浴室近く、窓際、車内など、熱と湿気がセットになった場所は発火条件が揃いやすくなります。
  • 満充電のまま長期間保管:100%状態は電池にとって“高電圧負荷”のまま放置していることになり、劣化だけでなく発熱リスクも上げます。YAMAHA公式FAQはこちら
  • 金属類・電線と一緒に収納する:鍵やクリップ、ケーブル類などと一緒にしまうと、端子接触でショート・発熱・火災につながりかねません。

③ 使わなくなったら“処分”を検討:安全な処理方法とは?

モバイルバッテリーや充電式ハンディファンをそのまま一般ゴミに出してしまうと、ごみ収集車や処理施設で圧縮・破砕された際に短絡・発火を起こす事例があります。例えば、東京都の自治体でも「リチウムイオン電池を含む可燃ごみ混入による火災の増加」が報告されています。東京都リサイクル案内はこちら

安全な処分のステップは以下の通りです:

  1. 機器からバッテリーを取り外せる場合は取り外し、端子をビニールテープなどで絶縁。
  2. 膨張・変形・発熱の兆候がある場合は、自治体等の回収窓口に持ち込みましょう。膨張バッテリー処分ガイド
  3. 自治体の電池回収ボックス、または家電量販店の回収受付を確認。例えば:
  4. 「電池含有ごみ」ラベルを貼る、透明袋で収集するなど自治体所定の形式に従う。
区名 回収ボックス設置状況および備考 案内ページリンク
千代田区 区内18か所に小型家電回収ボックス設置。「電池(充電池・乾電池)は取り除いてから」など注意書きあり。 千代田区 回収案内
中央区 「小型充電式電池」および「小型家電」回収対応あり。 中央区 回収案内
港区 令和7年9月〜充電式電池を不燃ごみの日に回収開始。区有施設にも回収拠点あり。 港区 回収案内
新宿区 「小型充電式電池」回収対応あり。 新宿区 回収案内
品川区 区役所・清掃事務所等に小型充電式電池回収BOXあり。 品川区 回収案内
目黒区 区内10か所以上に回収ボックス設置。 目黒区 回収案内
大田区 「小型充電式電池」回収対応あり。 大田区 回収案内
世田谷区 「小型充電式電池」回収対応あり。 世田谷区 回収案内
渋谷区 「小型充電式電池」回収対応あり 渋谷区 回収案内
中野区 区役所1階・リサイクル展示室に回収ボックス設置。 中野区 回収案内
杉並区 区役所・区立施設12か所に「小型充電式電池リサイクルボックス」設置。 杉並区 回収案内
豊島区 「小型充電式電池」回収対応あり。 豊島区 回収案内
北区 「小型充電式電池」対応あり。 北区 回収案内
荒川区 「小型充電式電池」対応あり。 荒川区 回収案内
板橋区 「小型充電式電池」対応あり。 板橋区 回収案内
練馬区 「小型充電式電池」対応あり。 練馬区 回収案内
足立区 「小型充電式電池」対応あり。 足立区 回収案内
葛飾区 「小型充電式電池」対応あり。 葛飾区 回収案内

④ ハンディファン・モバイルバッテリーを「使い切った後」の扱い方

暑い夏を終えて、ハンディファンやモバイルバッテリーを「また来年使おう」と保管する人も多いでしょう。しかし、ここでも注意点があります。

  • 使用後は完全に余熱・排熱したうえで、充放電を1~2回行ってから残量50%程度にして保管。
  • 動作確認をした上で、すぐ使わないなら端子をテープで覆い、湿気の少ない冷暗所に保管。
  • 翌年使う際は、まず数分稼働させて異常(膨張・熱・異臭など)がないか確認してから使用再開しましょう。

⑤ 万が一・発火が起きそうな時はどうする?

もしも「熱い・臭い・膨らんでいる」などの異変を感じたら、以下の行動を取ってください:

  • 使用を中止し、可燃物から離して、屋外の安全な場所へ移動。
  • 水をかけるだけでは対処できない場合があります。専門の消火器や砂を用いるのが望ましいです。
  • 処分する際は、自治体や回収業者に「発熱/膨張あり」の旨を必ず伝えてください。

⑥ 覚えておきたい法規・安全基準

リチウムイオン電池の保管・処理には法律・条例の規制があります。例えば、家庭用二次電池の適正処理に関する方針では、自治体の回収状況・処理基準が示されています。

家庭レベルでも「端子の絶縁」「一般ごみに混ぜない」「高温環境を避ける」の3つは事実上“最低限のルール”として広く求められています。

まとめ:保管も処分も“当たり前のルーティン”に

ハンディファンやモバイルバッテリーは、快適な暮らしを支えるアイテムですが、「使わないから安心」ではなく、「使わない時間こそ注意」が必要です。
今回紹介した保管・処分の習慣を日々のルーティンに取り入れれば、リスクを大幅に減らし、安全で長く使える環境を整えられます。
温度・残量・端子保護・分別という4つの柱を押さえて、来年も安心・快適に使える準備をしておきましょう。